コクワガタ採集飼育日記
学名 Dorcus rectus
飼育資材 [幼虫飼育]
自家菌床eh01
特記事項 まずはこいつがいないと始まりませんね!
2005/11/29 飼育Q&Aにこのクワガタについての質問がありました。

『どうやったら大きくなるか?』

回答にももちろん書いたのですが、このクワガタはどこにでもいるにもかかわらず、正面から取り組むとなるとなかなか厄介なクワガタです。

それはこのクワガタの選択した適応がそうさせていると私は思っています。というのもこのクワガタは南方から北上するにあたり、『大きくなることを捨てた』と考えているからです。オオヒラタが越冬能力を持ちにくいのはその大きさによります。開放血管系&変温という体では、低い温度条件化では、体が小さくないと十分に酸素をいきわたらせることが出来ません。結果として壊死を起こしてしまいます。

コクワちゃん達。大物2頭のそばの、小さいの2頭。見えますか?^^
有名サイト、マシンクワガタの管理者であるテクキカさんの説を私は支持しています。いわゆる『透明ブヨブヨ病』というヤツは幼虫の耐寒適応であり、病気ではないという説です。無論そういった代謝異常が細菌やその他の原因で引き起こされるというのであれば病気といえますが、低温にさらされた時に壊死を防ぐための体の正常な反応であると思います。

で。

コクワガタは『じゃあ小さくなればいいじゃん』ってことで小さくなっちゃったクワガタだと思うのです。太古のトンボが巨大であった体を捨てたように、小さくなるように適応したと思います。

そもそも『小さくなりたい』と思っているクワガタです。いくら菌糸や人工飼料が進歩しても、なかなか巨大にすることは難しいのではないでしょうか?
って前置き長くなりすぎましたけど(汗

飼育Q&A掲示板の『なかさん』に触発された私は、にわかにコクワガタが飼育したくなりました。

とはいえ。

コクワにはお金を出せないと思ったんです。もったいないんじゃなく、『恥ずかしいなぁ』と。コクワガタくらいは採集したいモンです。

思い立ったら吉日。私は行動を起こしました。

コクワガタはどこにでもいるクワガタです。近くに自然公園があって、そこに『どんぐりの森』という一角があることに以前から目をつけていた私は、さっそくそこをあたってみることにしました。
 
私の住む町の丘陵公園。クヌギやクリの木を多く植林している上に、よく整備されていて下草もほとんどありません。

この季節です。周囲もほどよく紅葉しており、趣がありました。

よく整備されていて、歩きやすかったです。マムシなどがいたら怖いですから^^;;
 
下草などがないということは、当然ながら処分された木々があるはずで。大抵右のように一箇所に集められています。オオクワガタなどはいざ知らず、コクワガタは別に立ち枯れに好んで穿孔するようなヤツラではありませんので、この程度の捨て木にも十分発生します。
こういったのが随所にありました。出来る限り広葉樹の多い、朽ちているものが集められている場所をチョイス。
 
その中の1本。
半ば埋まってます。こういう感じの朽木の方が、地面にゴロンってなっているのより確率が高い気がします。場所にもガタの種類にもよるとは思いますが。
   
ノミでザクっとやる。イモムシは樹皮周囲にいることが多いですし、この時期ヘタをするとムカデやスズメバチ、最悪ヘビなどが潜んでいる場合も多いので慎重に。

実際今回ムカデはたくさん出てきました^^;;

速攻1匹発見!

見よこの頼もしい食痕! 初めて採集された方は『コクワじゃない!』と思われると思います。が、自然環境下ではほとんどのガタが体に不相応な大きい食痕を残しています。
 
取り出してみました。

こりゃなかなか大物です。間違いなくコクワですけど(笑

すでに寒くなった公園でごそごそしているのは私くらいのもの。公園を整備されているボランティアの方が私のところに来て話をしてくれました。

公園の管理組合とボランティアの関係のこと、退職するまで勤めていらっしゃった会社の内部腐敗の愚痴。

私は何も言ってあげることができなくて『そうですね』という言葉をただくり返す。

『こんなところには大きいクワガタはおらんやろ?』
とボランティアの方。

『そうですね』
と私。

でもあなたがちゃんと下草を刈ってくれたり、枝打ちしたものを集めておいて下さらなければ、この小さいクワガタでさえ繁殖するのは難しいのですよ。よく『コクワは1本のクヌギでも発生する』という記述を見ます。事実かもしれません。しかし実際捜してみたことがありますか? 私は見たことがない。そんな木、気がつかないです。あっても大概キマワリなどのワームが巣くってる。
ボランティアの方が木を集めて置いてくださるおかげで、こうも簡単に採集できたのです。

お礼も言いたかったのですが、私のような若造が知ったような口をきくのが差し出がましい気がして、お話だけ頂戴しました。

おかげで採集出来ましたよ!

ご立派。しかし実は2頭ほど潰しちゃったんです(泣 可哀想なことをしました。集中力をもって作業しましょう。相当ヘコミますよ。
さっそく持って帰って菌糸瓶にぶち込みました。生育環境が湿度が高かったことを考えると、少々水分が飛んでるなぁ。。。
まぁ仕方なし。突然だったんで、余ってた資材がこれしかなかったんです^^;;

8頭採ってきました。いじった材は1本。

ちなみに。

どんぐりの森だったんですが、サクラから採集(笑

1本ランボクに持って帰ろうかなと思ったほど品質の良い白枯れのものもありました。


…やっぱ持ってこよw

自然の材割をした後だと、なぜか菌糸瓶が味気なく見えます。影響されやすい私(笑
 
2006/02/02 1頭蛹になりました♪

3gupの幼虫だったんでてっきり♂くんかと思ったんですが♀ちゃんでした。失礼^^;;

菌糸の方が大きくなるのかマットの方かなどというお話にはなかなか至らない私。根がズボラな上に対象のコクワの成長が早いので、なかなか難しい。コクワの採卵に成功したことのない私ですが、頑張って初令から挑戦しないといけませんな(汗



見えにくいですが、頭の部分がチラリw
まだ真っ白のイモムシ君。採集時1gにも満たなかった子たちです。すくすく育ってくれて嬉しいよ*^-^*
菌糸が劣化してきているので、このままではこれ以上は期待できそうもありません。交換ですな。
 
2006/03/02 ♂君も1頭蛹になりました。採集当時から3gほどあった大物のイモムシ君です。

大きさはおそらく35mm前後じゃないかなぁと思います。蛹室の大きさが50mm強なんで。ギネス級は52とか写真は見てないですが54というお話も聞いてますので程遠い^^;;

それにしても今回のキノコは水分をケチりすぎました。ガタが完全に水不足。せっかく菌床自体が長持ちでも乾燥に耐えなければ意味が(笑

菌糸が張っている状態だと、あんまり追加の水も吸いませんしねぇ。。。

ゆすってみたんですが、大アゴの先端内歯も一応ある個体にはなりそうです。♀ちゃんとの時期ずれがなかったのは良かった^^
 
2006/03/17 羽化しました。はや!って思われるかもしれませんが、それは↑の蛹化のアップを私が遅らせてしまったからです^^;; 実際にはちゃんと1ヶ月弱サナギマンでした。

で、瓶から見た感じ。やっぱ先端内歯はあるなぁ… と思いながら見回す。




。。

。。。

!!!!


いや、結構大きいんじゃないの!?

照明が悪かったみたいで緑っぽい画像になっちゃいました。
あとコクワはオオクワみたいな蛹部屋の長さに余裕がないんですね。瓶が小さかったからかも知れませんけど。蛹部屋の長さから計算してたよりも大きくなりました。アゴの長さが長いヤツは折れ曲がってる部分がそれだけ長くなるので当然と言えば当然か。
ちょっとヤル気になってきて取り出す。

ノギスを当ててみると…

うおお! 48mmは余裕で突破だ! さすがヒマラヤ系オオヒラタケ!

今回割と成功じゃないんすか?って思えました。と言っても最初から飼育したわけじゃないですし、特に世話もしてないんでなんともタナボタ的印象がぬぐえませんが。本土ヒラタで77mmを出したときも『忘れてたケース』からだったし。そんなもんなんですかね?(笑

つーかなかさんの『5g超えのコクワイモムシ』ってヤベェ! 私は最終計測してませんけど、それでも4gもなかったんじゃないかなぁ。

5gて。デカすぎます^^;;



さて。次はちゃんと産ませられるか、なんだけど。

いやこれね、マジ嬉しいです! 念願のコクワで巨大。実際におさえつけて測れば50mm超えますからね。これからもう少々縮むとはいえ。いや良かった!
 
2006/04/02 なかさんの5gコクワ! 写真いただきました!

まだ真っ白じゃないですか!

うーん。どこまで成長するんだろう^^;;


飼育しているマットの状態の写真もいただきました。これはもう本当に泥状で、温度に気をつけないと酸欠で落ちてしまうだろうと言った感じです。

私はガチに新品菌糸で行ったわけですけど、こうなると『大きくなるときは大きくなる』という非常にどうしようもないというか、ある意味正当すぎる結論に到達するんでしょうか? というかこの際『結論ってどう出せばよいのか?』ということすら疑問に。

いずれにせよこの幼虫が成虫になるのをものすっごく楽しみにしている私がいます。

なかさんご提供、ありがとうございましたm(_ _)m ぜひともこのまま無事羽化に持っていってください。泥マット、私もコクワや他のガタでも挑戦してみます。
 
2006/07/14 1ヶ月ほど前に、なかさんから私信をいただき、ついに件のコクワの羽化報告をいただきました。

♂は全て43mm、♀は最大で29mmだったそうです。やはり泥マットでは引っ張り具合の見極めが難しいみたいでした。そこさえクリアできれば55mmくらいいけそうな重さですよね! なかさんはまた挑戦されるそうなので、またまた楽しみです^^ 是非ギネスをとって欲しいです。
ありがとうございましたm(_ _)m


さて私の方のコクワ。ついにセットしてみました。今までコクワの採卵に成功したことのない私は、当然万全な方法で臨む。

クヌギAS規格材を3時間十兵衛特製スープで煮込む。まる一日日射の中で余計な水分を飛ばす。んで3リットルの米びつに♂♀セットでぶち込みました。温度はオウゴン挑戦の関係でかなり低めなので、ちょっと心配。でも産まします。

マットは朽木未発酵。少なめにしました。なおランボクを煮た『十兵衛特製スープ』は私がオウゴンの採卵に使う浸漬水と同じようなもので、グルタミン酸とトレハとホニャララを混ぜて作ってます。今のところオウゴンではハズレなし! コクワはどうかな?
 
2006/09/10 『エサも全然食べないなぁ』なんて思いつつも、世話だけは珍しく大事にしていたコクワガタ。覗いてみました。

左の木と右の木の齧り方が違いますよね。個人的には『右が♂の暴れた痕、左が産卵の痕』って思ってます。が、オウゴン(ローゼン)の写真でも見えるとおり、実際には右側の方のタイプにも産卵してます。

さっぱり動きがないと思っていても、こっそりとは活動しているもんですね。今年は国産オオクワが大凶作でしたが…

解りづらいと思うのでアップにて。左側。小島さんの伝説の著作『クワガタムシ飼育のスーパーテクニック』で一躍有名になった産卵痕。もちろん学術的にはもっと前から言われてて、保育社の『検索図鑑クワガタムシ』には『ルリクワガタの産卵痕』なるものが鮮明に撮影されています。

で、実際。

ご存知の通り私はほとんどのクワガタを放置して飼育しています(?)ので、明確な産卵痕というものをほとんど見たことがありません。図鑑のような『産卵痕』を見たことがあるのはこのコクワガタと本土ヒラタくらいのもんです。コクワガタの産卵痕を見たことがあるのはおかしいんじゃないかというあなたはスルドイ。そうです。私はコクワガタの採卵に成功したことがない。つまりこういうことなんです。

私は

『写真のような産卵痕を見たことはあるが、そこから幼虫を得ることは出来なかった』

んです。


じゃあ『産卵痕』はウソなのか?

解りません。産んだとしても孵化しなかったのかも知れませんし。いずれにせよこれが見られたからと言って、『幼虫をGET!』とはいえないということは経験的に事実です。私の飼育方法では。



産卵痕。これほど明確に出るのは本当に珍しいです。材が柔らかかったりすると出にくいとか、水分が多すぎると出ないとか色々言われてました。最近の文献は読んでないので…すみません^^;;
ついでに。

私の持っている『貴重な写真』。

まだ飼育かけだしだった頃、偶然撮影できた『産卵しているっぽい』写真です。本土ヒラタ。このサイトを作るきっかけになった職場で拾った本土ヒラタ『松吉』の嫁さん。当時と同じカメラを今でも使っている私ですが、その頃接写の方法を知らなかったし、設定も今と違っているのでサイズも若干異なってます。


もう一枚。

そのときの私の資料では『上の写真の後に埋め戻している♀』ということになってまして、発見からここまで約30分と記録しています。もしこの行動一回で一個の卵しか産卵できないとすると、30個の卵を産むには実に15時間ほどかかる計算です。その上この計算には『齧る行動』が入っていません。まぁ遠大なこと。自然界ではそれほど驚くに値しませんが。

で、問題の産卵痕。このときの私はさっそくそこに写真のような『痕』があるものと期待して観察を行ったわけですが無常にもその期待は裏切られ、『資料で見られるような産卵痕は発見できなかった』と記録されています。↑の文章を読んだことのある人はありがとうございます。あなたはこのサイト誕生後1年以内に読んでくださっていた超古参の方です。
ありがたやm(_ _)m


さて2006年コクワ。産んでいるのか。そしてそれは『産卵痕』の明確な方なのか…

 
2006/12/11 暴いてみましたよ。コクワ。材の感じでは『産んでる』という気持ちが強かったんですが、正直ちょっと怖かったりして^^;;


こんな感じです。♀がちゃんと齧っている材は本当にカビない。『抗菌物質を出している』説、ちょっとあるかもな?って思ってみたり。
割ってみました。

最初の一撃で食痕が若干出てきたので一応は勝利を確信。しかしながら…

これがなかなかイモムシ君と遭遇できない。一瞬『割り出すのがさすがに遅すぎたか』と不吉な思いもよぎったのですが、何のことはない、想像よりもはるかに小さかったので、単に見落としていただけでした。

いや小さい! 卵なんてほんとゴマ以下ですよ。これがスタンダードなんだって思うと外産に溺れてた感じがしてちょっとブルー(笑
『想像よりは…』なんて書いてますけど。

無論、コクワの幼虫を見たことはありますし、実際割り出して採って来たくらいですから考え直してみればこのくらいで当然なんですけど。

やっぱり外産病ですよね(汗

特に私はオウゴンをたくさん飼育している手前、幼虫が孵化したてとはいえこんなに小さいと違和感が。

んで割り出していくと卵がごろごろ出てきたので中止しました。私は非卵回収派。とりあえず見つけた大物を用意した超ミニプラケに移す。もちろん菌糸はオリジナルもの。でも実際ここから大きくなるような確信も自信もなく。

これで1サイクル、念願のコクワの採卵も成功。次はスジクワガタの飼育を狙おうかな。


コクワの飼育日記は非常に反響があって、なかさんはもちろんたくさんの方からご感想やご質問をいただいたり、ご指摘を賜ったり、励ましなどをいただきました。導入しているninjaツールでみても、コクワは私のサイトでは人気のコンテンツとなってます。やはり一番身近で愛されているクワガタなんだなぁと改めて実感。私と同じくらいの年齢の方は、コクワの話を書き出したらとまらないってくらいのエピソードをみなさん持っていらっしゃると思います。今度は大きさなど気にせず、ウジャウジャと飼育してみたいな。


コクワガタありがとう!

ちょっと生長したイモムシ君もいました。お父さんみたいに立派になってくれるんだろうか?